「なまずのこうみょう」
会期
第一部 「鯰の巧妙」 2/11 木 – 2/21 日
第二部 「鮎の光明」 4/2 金 – 4/18 日
場所
東福寺塔頭光明院
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「月かげは入る山の端もつらかりきたえぬひかりをみるよしもがな」
これは方丈記の最後に書かれた句。俗世から離れ、一人下鴨で過ごした鴨長明は最後にこの句で、永遠の光は手に入らないのだろうかと詠んだ。方丈記は災害や疫病が頻繁に起きた時代の空気感を淡々と伝えるもので、そのリアリティーはどこかいまの時代にも通ずるところがあるように思う。近年も当時と同じく、多くの災害が猛威を振るい、いまも疫病が収まる気配はない。見えないものの恐怖は、人々の頭の中で大きくなり、時代に大きくのしかかる。こんな時代にはいつも黒い何かが現れる。蛇や大山椒魚、鯰など、身近にいる黒く大きな生き物が災害や疫病の原因とされ、絵や言葉で脈々と現代にまで伝わってきている。彼らはなぜ現れ、何を伝えたいのか。警告なのか、戸惑う人々を哨笑っているのか、はたまた、人々が苦難を乗り越えるための希望なのか。月影が山からまた顔を出し世界を照らすように、暗い時代の救いであることを切に願う。
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